施術

皮膚の遊びを取れるようになろう!

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こんにちは、ダースーです。

私の自己紹介はこちらから

今回は皮膚の遊びをとるとは何ぞや?

という疑問にお答えしたいと思います。

皆さん、手技の習い始めに『皮膚の遊びをとってから、治療しなさい!』と言われたことはありませんか?

実は、皮膚の遊びをとれないと治療成果が上がらないことがあります。

なぜなら、調整したい筋肉や関節までしっかりと圧力が届かないからです。

この記事では、皮膚の遊びの取り方というあいまいな言葉と基礎技術を言語化してお伝えします。

この記事を読めばんで、少し練習すればすぐに皮膚の遊びをとれるようになります。

また、指導係になった先生も明日から技術指導に生かせます。

この記事を読んで、今からでも生かせる治療の基礎『皮膚の遊びをとる』という技術を習得・わかりやすく指導してください!

皮膚の遊びとはそもそも何か?

皮膚の遊びとは、皮膚のたるみの事です。

解剖学的なことを言うと、角質以下の組織です。
※後述に、一覧でまとめています

この角質以下の組織には、

脂肪層

支帯

浅筋膜

などがあります。

皮膚の遊びを持たせたまま施術をしてしまうと、どうなる?

皮膚の遊びを残したまま施術してしまうと、

適切な施術効果が出ない

皮膚が延ばされて患者さんが痛い

患者さんにけがを負わせる危険がある

事があります。

適切な施術ができない

皮膚の遊びをとれないと、適切な施術ができません。

技術を教えてもらう際に、『方向が違う!』と言われたことはありませんか?

なぜそういわれてしまうかというと、皮膚が滑ることにより圧力が分散してしまうからです。

そのため、目標とする地点ではなく別の場所に圧力が届いてしまうため『方向が違う』と言われてしまうのです。

皮膚が延ばされて痛い

これは自分の皮膚でも試していただきたいのですが、

  • 腋窩
  • 膝窩
  • 上腕の内側

の皮膚を親指で押したり、押されてみてください。

受けるとすぐにわかると思うのですが、筋肉を押されたのではなく皮膚が引っ張られて痛いと思います。

そのような施術を受けた患者さんがいたとしましょう。

その後に皮膚の遊びをとれる施術を受けると、素人の患者さんでも『この人上手い!』となります。

患者さんにけがを負わせる危険がある

これは施術家が一番気を付けなければなりません。

特に、肋骨付近の施術です。

具体例は以下の施術になります。

  • 広背筋下部
  • 腰方形筋
  • 横隔膜
  • 内臓(胃、肝臓、腎臓、横行結腸など)

上記の組織付近には、肋骨が存在します。

皮膚の遊びをとらずに施術をしてしまうと、最悪骨折をさせてしまう恐れもあります。

肋骨付近の皮膚は呼吸をするために伸張性が富んでいます。

皮膚の遊びをとらずに肋骨付近を施術すると、筋肉に対して施術をしていると思っていても皮膚を介して肋骨に牽引が加わり損傷を起こしてしまうことがあります。

患者さんにけがを負わせないという点でも、皮膚の遊びをとるは大事になります。

内臓の調整なんかしないという方がいるかもしれませんが、それは骨格筋や神経が関係する痛みすら取れていないからです。

そもそも、筋肉に対してもしっかりと皮膚の遊びをとれないと的確な施術はできません。

なので、次の項目を読んでいただきしっかりと基礎知識を覚えて、皮膚の遊びをとるようにしましょう。

遊びをとるために必要な予備知識

覚えるこことしては、

  • 皮膚の構造
  • 摩擦抵抗

についてです。

皮膚の構造

皮膚の簡単な組織構造をおさらいすると、以下の順番です。

  • 角質
  • 表皮
  • 真皮
  • 皮下組織
  • 浅筋膜
  • 皮膚支帯(脂肪)
  • 筋肉

これらが、皮膚の滑りを生み出しています。皮膚の遊びをとる際は、この皮下組織がとても滑りやすくなっています。

私は、以前にハワイ大学で解剖の短期実習に参加したことがあり、実地ではメスを使い実際に人体解剖を行います。(ハワイ大学公認ディプロマもらったから、公認の短期留学?)

そのため、指導要項に含まれる医学部での解剖見学ではなく解剖実習を行いました。

実際に解剖をしてみると皮下脂肪はかなり分厚いです。

解剖見学の際は、すでに脂肪が切り取られていたのですが、メスを入れていない体は脂肪に富んでいました。

メスを入れた後、表層筋膜と皮膚・皮下組織をこすり合わせるとかなりぬるぬると滑ります。

この結果から、脂肪組織は摩擦抵抗が少ないと確信を得ました。

解剖実習をしていない方は実際の組織を見たことがないと思うので、自分がどの組織を触っているか、ゆっくりでいいのでイメージしながら練習してみましょう。

摩擦抵抗について

ここでは、摩擦抵抗があるということを知っていただきたいと思います。

あまり摩擦にどうこう言う先生は見かけたことがありませんが、私は摩擦が重要だと思っています。

想像してほしいのですが、フローリングや床に指をあてて軽く動かすと指は動きませんよね?

しかし、思い切り力を込めて動かすと『ズズッ』と抵抗を無視しながら無理やり指が進むと思います。

これには指の推進力が床の摩擦抵抗を超えてしまうから起こる現象です。

これを体の組織で摩擦抵抗を無視して指を進めてしまうと、皮膚の滑りだけでなく、筋膜の上でも滑りが起きてしまいます。

人間は、

  • 皮膚
  • 筋肉
  • 神経
  • 内臓

で摩擦抵抗が違います。

自分で触ってみて実際に比べてみてください。

皮膚の遊びをとる方法

では、実際に皮膚の遊びをとる方法をお伝えしていきます。

動画で撮影しようと思ったのですが想像がつきずらいと思いましたので、文章でお伝えしたいと思います。(後からイラスト付けます。)

最初はゆっくりでいいので、想像しながら真似してみてください。

適宜スクリーンショットや文章をコピーして覚えておいてください。

今回は、やりやすいように硬結部分を探してから行いましょう。

皮下組織まで押圧する

まずは皮下組織を抑えるために、押圧していきます。

その順番についても、初心者の方でもできるように細かく記しますね。

皮膚に指を添える

まず、指の力を抜いて皮膚に指を添えます。

ちなみに、触れる前に空間に触れていることを意識すると患者さんや練習相手の方の無意識な緊張が解けるので試してみてください。

2ミリほど指を沈み込ませる。

皮膚の厚さは部位によって厚さが違います。

平均すると2mmほどです。

一般的に厚い部位は、

  • 臀部
  • 大腿部
  • 腹部

です。

約2mm以降は筋膜になりますので、まずは定規などで実際の長さを見て2mm動かしてみてから触れてみてください。

筋肉を認識する

皮膚・皮下組織は押圧することができましたか?

そうすると、少し厚みサランラップのようなものがあると思います。

それが筋膜です。

筋膜は実際に解剖して見てみると、硬いサランラップのような感覚でかなりの強度があります。

そのすぐ下は筋肉実質になります。

筋肉の摩擦抵抗と指の侵入速度を合わせる

筋膜まで触れたら、あとは筋肉に触れていきます。

よく触りながら観察していきましょう。

触っていると、気が付くかもしれませんが硬結は表面がザラザラしています。

これは、未分化の神経・血管組織で。

簡単に言うと、

筋肉が酸欠もしくは外傷により組織が壊れる

組織は再生したいが、酸欠を起こしてしまっているため完全に再生できない

そのため集まった細胞の材料が筋細胞に分化できない

筋組織とは違い、膠原繊維を多く含むため周囲と高度が違う

硬結の完成

という順番になっています。

この硬結のザラザラに指をひっかける

皮膚の遊びをとる練習の最終段階。

硬結に指をひっかけていきます。

ただ、ひっかけるというのはわかりずらいと思うので、できるだけ詳しくお伝えしていきます。

ザラザラは摩擦が多い

筋硬結の表面はザラザラ構造をしています。

皆さん、図工の授業で紙やすりを使ったことはありますか?

表面が目がザラザラしているため、摩擦がかかり木や材質によっては金属を削ることができます。

指をやすりに当ててゆっくり指を進めると滑らないと思います。

これは摩擦がかかっているからで、

指の侵入速度=紙やすりの抵抗

になっているからです。

筋硬結は、紙やすりの表面のようなザラザラ構造をしています。

この公式を覚えよう

最後にこの公式を覚えておきましょう。

指の侵入速度=ザラザラ硬結の摩擦抵抗

理論上、指の進行速度と硬結の摩擦抵抗が同じならばズルっと皮膚や筋膜表面で指が滑ることはありません。

  1. 皮膚の構造を理解して押圧する
  2. 硬結の表面の構造を理解して触れる
  3. 硬結に指をひっかけてから筋肉にアプローチする

この3つの段階を理解して練習すれば、おのずと別の施術法の習得スピードも上昇します。

皮膚の遊びを取れるとなぜほかの施術法が上達するのか、は別の記事にて紹介します。

まとめ

以下、本記事の復習になります。

  • 皮膚の遊びとは、角質以下の組織が滑ってしまうこと
  • 皮膚の遊びをとらないと起こること
  • 適切な施術効果が出ない
  • 皮膚が延ばされて患者さんが痛い
  • 患者さんにけがを負わせる危険がある
  • 知らなきゃいけない概念は解剖と摩擦について

皮膚の遊びを取る手順

  1. 皮下組織まで押圧する
  2. 筋膜に触れる
  3. 硬結を触る
  4. 硬結のザラザラに指をひっかける

忘れてほしくない公式は、

指の侵入速度=紙やすりの抵抗

このまとめだけでもいいのでスクリーンショットかコピペで覚えておいてください。

では、長文失礼いたしました。

ぜひお役立てください。







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ABOUT ME
だーすー
皆さんこんにちは、ダースーです。 都内で整骨院に勤務しているフリーランスです。 整骨院、整体、転職、人生観、おすすめ商品など多岐にわたり発信中。 将来の夢は体質改善施設(旅館併設や寄生型とか旅館運営)の運営。 学生・新卒からブラック整骨院に勤めながら、今まで数々のセミナーで技術を習得する。しかし、開業しなければ資金ショートするとわかり転職を決意。たくさん探した結果、技術主体のホワイト整骨院(仮)に転職。